年末の風物詩、駿河凧市が、1997年12月20日静岡市紺屋町の小梳神社境内で開かれた。
和凧の凧市が開かれるのは、珍しく全国でもここだけといわれている。
主催は駿河の凧の会(荒木幹夫会長)で、境内は正月の飾りにと全国から集められた武者凧などをもとめる人でにぎわった。
独特の形をした駿河凧は、義経、信玄などの武者絵、祝いものの金時など15〜16種。子供の誕生や初節句のお祝いに喜ばれるという。
駿河の凧の会の林直輝さんは、「凧は江戸後期から庶民の遊び道具として愛好された。
昭和30年代から凧上げの広場も少なくなり、飾り物、祝い物になった。お客さんの注文でつくることが多い」という。
見ると義元の名が入った武者凧がある。
「 今川義元の凧です。静岡の生んだ英雄として、いまもなお人気があります」という。
この駿河凧は、静岡市本通4丁目の「凧八」が伝統の技を守っている。
女凧師の加藤阿さ子さんは、現在4代目で後継者の孫娘光さんとともに凧づくりにはげむ。
光さんは切れ長の目の日本調美人、かたわらの「義元」がやさしく女凧師の成長を見守る。
「武者絵の頬の線を、ふっくら書くと顔がやさいくなる。私が女だからやさしくなるのかも・・・・・」
加藤さんは、凧が色褪せないよう染料にも秘訣があると、きょうも黙々と筆を走らせている。
「駿河の凧の会」 林 直輝さん 静岡県富士市浅間本町1−38 電話 0545(52)0670 |
「凧八」加藤阿佐さ子さん 静岡市本通4−4−4 電話 054(253)2530 |