國際歴史フォーラム 平成12年11月3日、静岡市市民文化会館で、國際歴史フォーラム「駿府大御所時代」が開催された。
基調講演の東大教授ロナルド・P・トビ氏は 秀吉の朝鮮侵略の後で、日本は国際的に孤立し、徳川家康は、日本を確かなものにするのが急務だった。この頃、大航海時代が始まり列強の東南アジア進出の中に家康はいた。家康の最大の願望は、ポルトガルに握られていた対明貿易の再開だった と述べた。 つづいて、四人のパネリストによるシンポジウムが開かれた。
コーディネイターの五野井隆史東大教授の「なぜ、駿府の大御所時代は知られていないか」との問いに対し、オランダ・ライデン大教授W・J・ポート氏は 大坂夏の陣以降は、事件が少なく、日本の教科書は細かく述べずに、この時代を省略した。 また、ドイツ・ボン大教授Y・クライナー氏は 欧州の情報源は、イエズズ会の報告だが、名古屋以西は詳しく、特にキリシタン大名の情報が多く、家康の役割を伝えても、細かい動向は伝えていない とのべた。
静岡大学の本多隆成教授は、武家と朝廷さらに農民の統制にふれた後、平和な260年の礎をつくつた家康は優れた政治家であるとのべた。 作家の杉本苑子さんも、家康の三度にわたる駿府生活の話題、挿話をのべ、徳川家康の影響で豊かで穏やかな静岡県民性がつくりあげられたと賛美した。 最後に「駿府・大御所宣言」が、篭上中学2年生5人により発表された。
「この街のかたち」を考える上で示唆に富む宣言文である。 |