秋立つ明治の館で歌う愛唱歌

静岡市にある数少ない西洋館の旧エンバーソン邸が完成後100周年を迎えたことから、2004年9月18日、秋色が一段と深まってきた邸内で記念のコンサートが開かれた。

旧エンバーソン邸


旧エンバーソン邸は、カナダのメソジスト教会が日本に派遣した宣教師ロバート・エンバーソン氏の活動拠点として、明治37年自らの設計で市内西深町の地に建てられたものである。この洋館は当時としては大変モダンな建物で、歴代の宣教師の住まいとなっていたが、昭和62年(1987)静岡市に寄贈された。そして池田山自然公園内に移築され国登録有形文化財として公開されている。

完成祝賀の記念写真(写真は静岡市教委提供) ロバート・エンバーソン氏
この日のコンサートは声楽家の「きむらみかさん」、ピアノ・オルガン「小野綾子さん」の二人で、明治の香りと雰囲気のある邸内で、日本の愛唱歌を中心に歌声を響かせた。

きむら みかさん エンバーソン氏の肖像写真のある広間

また女性コーラス「コールなでしこ」の合唱も美しい秋風のハーモニーを奏でていた。

静岡市では、明治4年に米国人エドワード・W・クラーク氏が、お雇い教師として静岡学問所のために来静したのを始め多くの外国人教師、宣教師がやってきた。
女性コーラス「コールなでしこ」

エンバーソン氏は、自宅の他に学生寄宿舎も設け、キリスト教学生会として布教もした。その後、キリスト教学生会は旧制静岡高等学校(静岡大学の前身)の寄宿舎となり、また昭和17年同会閉鎖後は静陵高等学校(現 静岡英和学院)の宿舎になるなどの変遷を経て、今は静岡市教育委員会の施設として公開と利用がされている。
旧エンバーソン邸100周年記念事業実行委員会の事業を次にあげる。
  ◆10月16日(土)コンサート「音のある風景・童謡と唱歌」会費2,500円
  ◆11月20日(土)コンサート「音のある風景・日本のエキゾシズム」会費2,500円
  ◆12月4日(土)シンポジューム「洋風建物と明治の日本」会費 無料
          
 申し込み:旧エンバーソン邸100周年記念事業実行委員会事務局
          電話&FAX 054-247-3729

その他、静岡市内には、高松の海岸沿いに旧マッケンジー邸(明治の貿易商の居宅)もあり公開されている。